A BIGGER BANG my review

 

Bridges To Babylon以来、本当に久し振りのスタジオ録音によるニュー・アルバム「A BIGGER BANG」。

ジャケットは、何やら宝物を見つけ出したような、または、特別な何かが生まれたような 「光」を

真っ暗な中でメンバー4人が囲んでいるという、ちょっと見不気味な感じ。

下側に様子が映っていると思いきや、上と下と違っていて意味深。

この下の絵が中ジャケに使われているのだが、その他は本当に真っ黒で、いたってシンプル。

これが中身の音を表しているかの如く、肝心の音の方は、まず一聴して思ったのが、なんとアナログっぽい音!

クレジットを見ると、ミック、キース、チャーリーの3人のみでの曲、プラスロニーやダリルの曲などがたくさんあり、

ホーンは1曲もなし、「Programming」とクレジットがあるのは2曲だけ。

本当にシンプルな音で、まるでLIVE感覚でスタジオ録音したようだ。そう、あの「Stripped」のような。

アルバムに納められたバリバリのブルースというのも珍しい「Back Of My Hand」は、正にLIVE感覚。

ミックのハーモニカも、スタジオ内エコーを感じさせるいい感じの音がして、痺れる。

このミック、今回スライド・ギターからベース、パーカッション、キーボードなど、 ほとんど全曲で楽器を弾いており、ミックの前向きさが感じられる。

恐るべし62歳!

実際のツアーでも、ミックはスライドを弾いているようだが、 アルバムの中でもいい感じのスライドを聞かせてくれている。

また、ベースも、「俺が弾いてるんだぜ」と言わんばかりに音が前面に出ていて面白いし、

パーカッションが効いた「Laugh, I Neary Died」も効果的に使われていて、かっこいい。

パーカッションといえば、80年代にLIVEにも同行していた名パーカッショニスト、 レニー・カストロが1曲参加していて嬉しくなった。

このアルバム、全体的に70年代・80年代の匂いをさりげなくまとった新しいSTONESといった感じで、名曲揃いだと思う。

シングル・カットされた1曲目「Rough Justice」は、ロニーのスライドがガンガンに効いた、本当にかっこいいナンバー。

ネットで最初に聞いたときも思ったのだが、どこかDoobie Brothersを思わせる曲だ。

他にも、南部のブルース・ロックやブギーを感じさせる曲「It Won't Take Long」「Driving Too Fast」

「Oh No Not You Again」があり(Geogia Thatelitesを彷彿とさせる)、

また、キースのソロ「Talk Is Cheap」に入っていそうな曲「Dangerous Beauty」も、なんともかっこ良く、心地良い。

その他、ウェストコースト・ロックっぽい曲「Let Me Down Slow」「Biggest Mistake」や、

何だか80年代のポップ・ロックのような「Look What The Cat Dragged In」、

ダンス・ナンバーの「Rain Fall Down」 など盛りだくさんで、聴いていて本当に飽きない。

それから「Streets Of Love」。これは、やはり名曲と断言する。

シングル・カットされる曲ということで最初に聞いたときは、ピンと来なかったのだが、 じっくり聴いてみると、味のあるいい曲だ。

キースはいつもながらのキース節を聴かせてくれるのだが、 ミックがバック・ヴォーカルやギター、

ハーモニカなどで参加しているのが、もの凄く、嬉しい。

そしてチャーリー。ガンと交通事故を克服したそうだが、なんとも力強く生き生きとした驚異のドラミングを聴かせてくれる!

最後に、うちの奥さんが言った一言。 「60歳を越えても、こんなラヴ・ソング書けるなんて、ミックもキースも凄いね!」

 

Sept. 8. 2005